なほ または あほ

吉原ちかくのなんでもや

父と娘の結婚観

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私はかなりのファザコンです。

ただ、そのファザコンは昔からではなく、ここ数年のことです。気がついたらなっていました。

ほんの数年前まで続いていた長い長い思春期のうちは、父と会うのも話すもの同じ空間にいるのも嫌でした。大ゲンカをした回数なんて数え切れず、口をきかない事なんて日常茶飯事。吐き捨てた罵詈雑言を思い返すとぞっとします。友達の親よりずっと老けている事、貧乏な事、両親に似てしまった自分の容姿への不満など、父が傷つくところについて激しく罵る最低な娘でした。


そんな父も先日で74歳。


私が大人になるにつれて性格が丸くなり、父とも仲良く話せるようになりました。前よりも探し物がうまく見つけられず、得意な料理の味付けが以前とは変わってしまった父。そんな父と何度も同じ話をする時間が宝物になりました。

叔父から送られてきた玉ねぎが美味しいとか、5月に一緒に植えた種が花を咲かせたとか、裏の川にアオサギがいたとか、そんなたわいもない話を実家に帰ると繰り返します。私もほうけた性格なので毎回新鮮な気持ちで聞いています。


今年の誕生日には、大好きな電子工学系のよくわからないものをあげました。父の夢は発明家なのです。目下、永久機関でエコエネルギーを作る事と電気のいらないミキサーを作る事を目指し、懸命に図面をひいていました。会うたびに仕組みを詳しく語ってくれますが、学生時代の早々に理科で赤点を取った私にはちんぷんかんぷんです。

歳を重ねてなお夢を持ち続けている父の姿は私の誇りであり、健康診断でいくら身長が縮んでしょんぼりしていようと、検査結果を見ながらさらに背中をまるめようとも、父の背中は大きくて丈夫に見えるのです。


そんな父としばらくふたりきりになったので、一緒に土をいじったり、壊れた電子レンジを分解したり、よくわからない基盤にハンダ付けをして遊んでいました。話かだいぶ尽きたので、私や姉が結婚しないことについてどう思っているかも聞いてみることに。すると「別にしてもしなくてもどっちでも良い。むしろ結婚して傷つくならば、一生しないでいいと思っている。周りは気にするな」と言われました。従姉がDVを受けて離婚した事にはじまり、色々な夫婦トラブルのニュースを見た結果、そういう考えに至ったそうです。


孫の顔が見たいかについては、「そりゃあ見たくないよ!隔世遺伝でお父さんみたいな孫が産まれたら嫌だろう!」と予想外の反応でした。私の事を気遣ってのコメントかとも思いましたが、多分、素なんでしょう。


大好きな父のように植物と動物を愛で、何でも食べる穏やかな人がいるならばすぐにでも結婚したいと思っていました。でも、なんだかまだ結婚してほしくなさそうなので、まだしばらくはひとりでいることにするよ。